注目

Ghost of Tsushima (ゴーストオブツシマ)

20210504-105512

2020年に最も話題となったゲームです。
日本にとっての歴史的大事件、元寇を題材としています。
大量の蒙古軍が真っ先に襲い掛かった對馬(つしま)が物語の舞台です。
主人公は對馬を蒙古から取り戻すために奮戦する武士です。


・世界観

大量の蒙古軍に襲われて絶体絶命のピンチに陥った對馬の民。
島の守り手たる武士達は緒戦でほぼ全滅。
堂々と名乗りを上げた後の一騎打ちを誇りとする日本武士は、火薬を用いた集団戦法を得意とする蒙古兵にはまるで歯が立ちませんでした
そんな劣勢の中、たった一人生き残ったのが本作の主人公境井仁です。
彼が蒙古軍から對馬をどうやって取り戻すのか?それが本作のテーマです。
また、日本らしい對馬の美しさもこのゲームの大きな魅力です。
そのしさを堪能するためにUIは最小限に抑えられています。


・武士とは?
鎌倉時代は、武士が初めて幕府を作り、名実ともに武士の世界となって時代です。
武士は多くの一族郎党を抱え、一たび幕府から命があれば全てを投げうって戦地へ馳せ参じます。その武士が最も大事にするのが「誉れ」。
ここでいう「誉れ」とは合戦の最中だけでなく、常日頃の生き方にまで及ぶもので、武士の生き方の手本となるべき考えのようなものです。
そしてその最もわかりやすい発露が一騎打ち。
正々堂々と正面から敵を打ち破ってこそ、武士の誉
しかし、それでは押し寄せる蒙古軍から對馬の民を守ることはできない。
緒戦で大敗したことから、境井仁はそのことにいち早く気づきます。
緒戦で大敗したことから、境井仁はそのことにいち早く気づきます。
とはいえ、子供の頃から武士が最も大事にすべきものは誉れであると叩き込まれて育ったのです。
それを捨てるのには大きな葛藤があります。
誉れを捨て、それでも民を守ることを選ぶ

全編を通してその葛藤は描かれ続けます 。


・アクションゲームとしての完成度の高さ

戦闘中の動作は、弱攻撃、強攻撃、かわし、跳ね返し、の4つのみ。
非常にシンプルです。
そのシンプルさの中に日本刀の美しさ、素晴らしさが落とし込まれています。
わかりやすいのが一騎打ちのシーンです。
蒙古軍の持つ鈍器に近い刀や槍ではなく、日本刀の切れ味の鋭さを表現するにはもってこいです。
ダークソウルの例を出すまでもなく、こういうのはシンプルな方が奥が深くなるってもんです。
その代わりに抜群の操作性が求められるわけですが、もちろんこのゲームはそれを十分に満たしています。

・対馬の美しさを表現するための仕掛け 

對馬の美しさを堪能するための仕掛けが複数用意されています。
その一つが狐の社参り。
對馬の各地に狐が居て、彼らの後についていくと社があります。
社に参ることで、戦闘時に役立つ特典がもらえます。
社は森の中や、海岸線や、高台の上、様々な場所にあり、ツシマの美しさを堪能させてくれます。
さらには、道案内をしてくれる狐がめちゃんこ可愛い
ちゃんと狐を撫でることもできます(とても大事な点)。

狐の社とは別に神社のお参りってのもあります。
對馬各地にある神社を回ることで、戦闘に役立つ特典がもらえます。
神社は狐の社同様にツシマ各地の絶景ポイントにあります。
神社に行く過程では崖を登ったり、木の枝を飛び移ったり、鈎爪使って、飛び回ったり、パリクール的なアクションが楽しめます。
・個性豊かな登場人物
境井と共に戦う個性的な仲間達がいます。
武士はもちろん、野党、酒売り、僧兵と個性豊かな人物が揃っています。

 ・元野盗ゆな
蒙古に捕まった弟を助けるために境井仁に助力を求めた元野盗。
仁に、正々堂々以外の戦い方を教えた人物でもあります。
過酷な状況であっても、強い意志の力で前へ進むことのできる女性です。
正々堂々を良しとする武士とは対極の信念の持ち主です。
だからこそ、彼女がいることで武士との対比が際立ちます。

 ・酒売りの堅二
元々はイカさま商売人。
あこぎな商売をしつつ、日銭を稼いでいました。
仁に会ってからも、最初は金儲けののことを考えていました。
しかし、仁の生き方をその傍で眺めることで少しずつ変わっていきます。

 ・女武士安達政子
勇猛な男侍よりも、さらに勇猛な女侍。
一族を殺された恨みを果たすため、復讐に全てを掛けます。
仁はその手伝いをします。

 ・僧兵典雄
兄も僧兵で、寺の守りての要となる存在でした。
いつか自分も兄のような存在になりたいそう思っています。
僧兵は仏の教えを守るためならば戦いをも厭わない存在ですが、、全ての僧が同じ考えを持つわけではありません。
同じ仏教を信じる他の僧とぶつかりながらも戦い続ける。
そんな最中に仁と出会います。

・弓の達人石川定信 

弓の腕は一級品ですが、頑固者でとっつきにくい老人。
物語序盤ではあまり好感の持てない人物でしたが、少しずつ変化していきます。

戦国時代の武士とは大きく異なる鎌倉武士
武士を描くために鎌倉時代を描いたのは賢いと思います。
鎌倉時代は武士が初めて日本を牛耳るようになった時代。
その分、武士の信念が色濃く存在したのではないかと思います。
海外のメーカーが作ったゲームなのに、不自然さを全く感じませんでした
そして、一人の日本人としてあれこれ考えさせられる作品でした。
お話としての完成度の高さ、對馬の美しさ、どちらも最高。

1人でも多くの人に遊んでほしい、素直にそう思えるゲームだと思います。 

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